進め、マイケル・ムーア少年!
『アメリカの医療制度はSicko(病気)だ!』
マイケル・ムーアがこう叫びながら製作した最新作『シッコ』は、まさに痛快!
その反面、よくよく考えてみると、衝撃を受けたのはアメリカ人だけでなく日本人であるオイラにとっても衝撃的な内容で他人事ではないようだった…。
マイケル・ムーアがカナダやイギリス、フランスやキューバへ渡って『タダ!? お金、かからないの?』と映画の中で何度もこの言葉をつかって呆然とするんだけど、オイラもムーア同様『そうなの!?』って思ったもん。
アメリカには国民皆保険の制度がないので病気や怪我をしてしまうと、多額の治療費を必要とする。6人に1人は無保険者で、保険に加入していても、利益至上主義の保険会社は保険金の支払いをなにかと拒否する。
治療をするかどうかは保険会社とその保険会社から給料をもらう医師が判断するので、金銭的に医療費を自己負担できずに治療を断念せざるを得ない人たちの姿を映像で見せられてしまう。
そういうアメリカの実情を踏まえると、タバコ会社やマクドナルドを相手に多額の損害賠償訴訟を起こすアメリカ人の気持ちも理解できそうな気もするのだ。
だって、ひとたび肥満やガンになれば資産をすべて失う危険があるんだもん。
日本はどうだろう!?
日本には国民皆保険の制度がある。米国の政治家が吹聴する共産主義のはじまりの制度でしょ。
その日本で医療を受けられない人がいるのだろうか?
その答えは即答できるだろう。
健康保険証をもらえない人がいることは社会問題になっているし、金銭面の負担が重くて治療の回数を減らす人はかなりいると聞く。
まだ日本の制度は米国と比べると助け合いの精神が働いているので、どの指を縫合して、どの指を諦めるのかの選択をしないで済む。自己負担も限度額があるので、保険診療であるかぎりは自己破産することはない。
でも、それは今までの制度での話であって、医療改革によっては厳しい自己責任が社会保険の分野に入り込む可能性は無きにしもあらずだし、助け合いの精神が希薄になっては社会保障は崩壊すると思ってもよさそうだ。
皮肉にも、最高の医療技術と医療環境を提供できるのもアメリカで、日本人も国内では認可されてない手術を米国へ行って最先端の医療を受けている。
そういう最高の医療技術をもちながら、低所得者層は病院での治療を諦めなければならない。なんか悔しいね。
この映画で痛快だったのが、ムーアと9.11救命士たちがキューバへ渡るシーンだ!
アメリカにとってキューバは“悪の敵国”で、忌み嫌う社会主義国家だ。
その国で9.11救命士は母国では有り得ない優しい言葉を医者の口から聞くことになる。
オイラ、このシーンは涙が出そうになりました…。
くしくも大統領選挙が近づいていて、候補者は公的医療保険制度を公約に入れ始める動きがあるようだ。
さてはて、この映画で何かが変わるのだろうか?高みの見物といきますか。
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