死の運び屋シガーの魅力とは
『ハンニバル・レクター以来、映画史上最悪の死の運び屋』
うーん、そうかなぁ…。
『純粋な悪にのみこまれる』
うーん、そうかなぁ…。
映画『ノーカントリー』に登場するアントン・シガーは確かに殺し屋だ!
200万ドルを持ち逃げした狩人のモスをどこまでも追い詰めて殺す。人違いだろうが何だろうが、とりあえず殺す。偶然に出くわした老人をも殺す。
しかもシガーが使う殺人道具は酸素ボンベ付きの強力なエアガンだ。この武器で人の頭も扉の鍵穴も簡単にブチ抜く。それも一際不気味に、無表情で引き金をひく。
これが殺人鬼アントン・シガーだ!
では彼の魅力は何なのだろうか?
オイラはレクター博士やジグソウに匹敵する新キャラの登場かとワクワクしながら映画を見ていたんだけど、最後まで彼の魅力を感じることは出来なかったかなぁ…。シガーワールドにのめり込むことは出来ませんでした。
レクター博士は、癖まるだしの殺人モンスター。
自我の飽食心を満たす為に殺す。ハンニバル青年のときには人の頬を喰い、レクター博士のときには人の脳を喰らう。
自分だけの理想郷とプラトニックな愛の為だけに生きている。だからレクター博士には魅力があるのだ!
ジョン・クレイマーは、ソウの世界の創造者。
ソウの世界では、血を流すこと、時を意識すること、イコール“生きること”と定義してゲーム化する。
罠にはまった者や選択を誤った者は死あるのみ。そのゲームを最前列で見ているジョン・クレイマーは、常に『生きてみろ!』と無言で問い掛けてくる。彼はこの世界の神、だから魅力があるのだ!
では、アントン・シガーはどうか?
彼は人から話しかけられることをめんどくさがる。だからコインの表裏だけで人を試す。彼なりのルールがあるとすれば、契約や取引はしない。人を愛しない。
だけど、彼は最後のシーンで取引をする。しかも相手は子供。顔も見られてしまっているのだ!
このラストシーンにオイラは正直、ガッカリしちゃったよ。
もし、シガーに魅力があるのなら、トミー・リー・ジョーンズ演じるベル保安官も引退などせずに彼を追い続けるに違いないのだ。
シガーに唯一魅力があるのは、あの顔とあの髪型だ!
ハビエル・バンデムの風貌と奇妙な武器を持つ彼のたたずまいが、この映画のすべてなのだ!
それだけでも、この映画を見る価値あり。アカデミー賞4部門、助演男優賞を獲得した“あの顔”を見ろ!なのだ。
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